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2016年9月8日木曜日

返戻・査定事例 再度クレナフィン外用液です

夏季休暇が明け、ようやく仕事!というモードですが、
台風の予報が多かったことと、目だった流行病がないため
8月下旬から来院数の少ないクリニックが増えているようです。

これからまた冬場に向けて予防接種なども始まります。
余裕のあるこの時期こそ、
保管期限の過ぎたカルテやレントゲン、伝票の整理など
時間を見つけて行なえると良いかと思います。


さて、今回はレセプトの査定事例です。
以前にも記事で取り上げた

クレナフィン爪外用液

前回は処方単位による査定でしたが、
今回は他院で、適応に関する査定がありました。


クレナフィン爪外用液 3.56g  590点→0

理由は、A:療養担当規則等に照らし
医学的に適応と認められないもの


クレナフィンの適応は爪白癬ですが、
当該医院のレセプトに「爪白癬」病名はきちんとついており、
何がいけなかったのか?という問い合わせでした。

事務スタッフの言うとおり、レセプト病名には爪白癬があり、
3.56g ということは1本ですので、処方量も問題ありません。

そこで添付文書を見てみると、こんな記述があったのです。


<効能・効果に関連する使用上の注意>
1.直接鏡検又は培養等に基づき爪白癬であると
確定診断された患者に使用すること

まさかと思って該当月のレセプトをチェックすると、
確かに当月、爪白癬の病名はついていますが、
それに伴う検査はなし。

「確定診断がされていないのに処方した」
ということが査定理由だったのだと分かりました。


このような場合、通常再審査請求は不可能ですが、
他院(例えば皮膚科)などで爪白癬の診断を受けていた、
というコメントを入れれば、検討の余地はあるかもしれません。


当社で使用している薬価本には、
確定診断後処方という記載はなかったので、
改めて添付文書の大切さを知らされた出来事でした。


皆様も是非ご注意ください。

2016年9月1日木曜日

配偶者控除がなくなるって本当?


以前より議論されていた「配偶者控除の撤廃」について、
2017年度税制改正で検討することが発表されました。

働く主婦パートさんが多い医療機関では、
今後パートさんの働き方に大きく左右する問題です。
今一度、制度のおさらいと、
今後の方向性を見ていきましょう。


現行の「配偶者控除」は、結婚している夫婦の世帯において
扶養の対象となる妻がいる場合、夫の所得税が安くなる、
という制度だということは、ご存知の方も多いかと思います。

扶養の対象となる妻 に該当するのは、年収103万円未満、
この場合夫の収入から控除される金額は、38万円 です。
これがいわゆる、103万円の壁 に該当します。

しかし勘違いしている方も多いのですが、
「控除」というのはあくまでも 
課税される額から38万円分を引ける
というものであり、
収める税金が丸々38万円安くなる というわけではありません。

例)  課税所得が338万円の場合
  338万円-38万円 = 300万円に対して課税
  という考えになります。


分かりやすく説明すると、概ね以下の図のようなイメージです。
                     ※画像がとらばーゆcolmunより抜粋

                   

妻が年収103万円以上になると、
夫の手取り年収が減ってしまうことを懸念して、
勤務調整する主婦が多い、というのが現制度です。

しかし政府としては、税収を上げたいのが目下の目標ですから、
新たに「夫婦控除」というものを導入して、
妻の年収にかかわらず、夫からは一定の控除を適用し、
妻には制限なく働いてもらう、という制度を検討しています。


こうすれば、103万円の壁を気にせず働く主婦が増え、
結果的に夫だけでなく妻からも、所得税が徴収でき
国としては税収が増えるわけです。

この制度は、借金だらけのわが国において、
財務省の長年の悲願であり、導入は前向きに検討されるでしょう。

早ければ2018年1月から導入される「夫婦控除」。
慌ててシフトを増やしたい!と思っても時既に遅し・・
ということがないように、パート主婦の方は今から働き方を検討しましょう。